鍛造品の切削加工|自由鍛造・型鍛造品の異形物を削り出しまで一貫対応
クレーンのフックや吊り具、トラニオン、レバー、ブラケットなど、強度が求められる異形状の部品の多くは、鍛造で素形材をつくり、機械加工で仕上げて製品になります。しかし、異形状の鍛造品を精度よく削れる加工会社は多くありません。
三暁は1951年の創業以来、鍛造品の製作と機械加工に携わってきました。自由鍛造(フリー鍛造)品・型鍛造品の素材手配から、異形物の削り出し、熱処理、表面処理までを一貫して対応しています。このページでは、鍛造品の切削加工の基本と難しさ、異形状の鍛造品を精度よく削り出す三暁のノウハウをご紹介します。
鍛造品の切削加工とは
鍛造品の切削加工とは、自由鍛造や型鍛造でつくった素形材を、旋盤やマシニングセンタで図面どおりの寸法に仕上げる加工です。鍛造後の素材にはバリや黒皮、寸法のばらつきがあるため、はめ合い部やネジ部、取付面などは切削で仕上げる必要があります。特にフックやトラニオンのような異形状の鍛造品は、重心が回転の中心からずれているため、精度よく削るには経験とノウハウが欠かせません。以下では、素材となる鍛造の基本から、切削の難しさ、一貫で依頼するメリットまでを解説します。
切削前の素材となる鍛造|自由鍛造(フリー鍛造)とは
自由鍛造とは、金型を使わずに、加熱した金属をハンマーやプレスで叩いて形をつくる鍛造方法です。フリー鍛造とも呼ばれます。金型が不要なため、単品・小ロットや大型品の製作に向いています。
自由鍛造の主な成形方法
自由鍛造では、素材を叩いて長さを縮め太くする「据え込み」、太さを細くして長く伸ばす「鍛伸(伸ばし)」、穴をあける「穴あけ(ピアシング)」、曲げる「曲げ」などの基本操作を組み合わせて形をつくります。職人の技量によって仕上がりが左右される工法でもあります。
型鍛造との違い
鍛造には大きく分けて「自由鍛造」と「型鍛造(型打ち鍛造)」があります。型鍛造は、上下の金型で金属を挟んで成形する方法で、同じ形状を大量に、寸法をそろえて製作するのに向いています。
| 項目 | 自由鍛造(フリー鍛造) | 型鍛造(型打ち鍛造) |
|---|---|---|
| 金型 | 不要 | 必要(初期費用がかかる) |
| 向いているロット | 単品〜小ロット | 中〜大ロット |
| 形状の自由度 | 比較的シンプルな形状が中心 | 複雑な形状も成形可能 |
| 寸法のばらつき | 大きめ(加工代を多めにとる) | 小さめ |
| 大型品への対応 | 得意 | 金型・設備の大きさに制約あり |
鍛造品の強み(鋳物・削り出しとの比較)
鍛造では、金属を叩いて鍛えることで内部の空隙がつぶれ、組織が緻密になります。また、金属の繊維状の組織(鍛流線)が製品の形状に沿って連続するため、丸鋼から削り出した部品や鋳物に比べて、引張強さや靭性、疲労強度に優れます。吊り具やフックなど、破損が許されない部品に鍛造品が使われるのはこのためです。
| 製法 | 強度・靭性 | 形状の自由度 | 向いている部品 |
|---|---|---|---|
| 鍛造+切削 | 高い | 中 | フック、吊り具、強度部品、大径段付き軸 |
| 丸鋼・板材からの削り出し | 標準 | 高い | 単品・小物、一般機械部品 |
| 鋳物+切削 | やや低い(巣のリスク) | 非常に高い | ケース、ハウジング、複雑形状部品 |
鍛造品は「削って」製品になる
鍛造品は、鍛造しただけで完成品になることはほとんどありません。鍛造後の素形材には、バリや酸化皮膜(黒皮)、寸法のばらつきがあるため、はめ合い部やネジ部、取付面などは機械加工で仕上げる必要があります。
つまり、鍛造品を部品として使うには「鍛造」と「機械加工」の両方が必要です。三暁では、この2つをまとめてお任せいただけるため、鍛造メーカーと加工会社の間の調整や運搬の手間を省くことができます。
鍛造品の切削が難しい理由|異形状を旋盤で削り出すノウハウ
重量バランスの悪いワークをきれいに回す
丸棒であれば旋盤にくわえてそのまま回せますが、フックやトラニオンのような異形状の鍛造品は、重心が回転の中心からずれています。そのまま回すと大きな振動が出て、精度が出ないばかりか危険を伴います。治具の工夫やバランスウエイトによって重量バランスを取り、きれいに回せる状態をつくることが、異形物の旋盤加工における最大のノウハウです。バランスさえ取れれば、あとは丸物と同じように精度よく削ることができます。
1個ずつばらつく鍛造肌への対応
鍛造品は、バリや成形のばらつきにより、1個ごとに数mm程度形状が異なります。そのため、量産品のように同じ段取りで機械的に削ることはできません。1個ずつ形状を見て芯を出し、加工代が足りなくならないよう確認しながら加工する必要があります。
汎用旋盤とNC旋盤の使い分け
三暁では、汎用旋盤とNC旋盤の両方を使い分けています。NC旋盤による加工が中心ですが、ワークの形状や数量に応じて最適な設備を選んでいます。大型の異形ワークは、φ1,100×4,000L・3tまでのワークを載せられるCNCフラット旋盤(オークマ LH55-N C4000)で、フックなど丸棒以外の形状も加工しています。
鍛造+切削を一貫で依頼するメリット
- 手配の手間が減る:鍛造メーカーと加工会社を別々に探し、図面や納期を調整する必要がありません。
- 加工代を最適化できる:加工側の視点で素材形状を決められるため、加工代の不足や過剰な余肉を防げます。
- 品質の責任が明確:素材起因か加工起因かの切り分けが不要になり、不具合時の対応も一本化されます。
- 納期を短縮しやすい:工程間の運搬や待ち時間を減らせます。
三暁の鍛造品切削の対応範囲
素材の手配から一貫対応
小型の鍛造品は自社で製作し、大型品は協力関係にある鍛造メーカーから調達します。お客様は素材の手配を含めて三暁に一括でご依頼いただけます。
自由鍛造品・型鍛造品どちらの追加工も可能
自由鍛造品だけでなく、型鍛造(型打ち)品の機械加工にも対応しています。お客様が保有している鍛造品の追加工のみのご依頼も承ります。
丸鋼・板材からの削り出しとの使い分け
強度や数量、形状に応じて、鍛造品から加工するか、丸鋼・板材から削り出すかをご提案します。どちらが適しているか判断がつかない段階からご相談いただけます。
主な対応材質
炭素鋼(S45Cなど)、クロムモリブデン鋼(SCM)、ニッケルクロムモリブデン鋼(SNCM)、ステンレス鋼(SUS630・SUS316)、炭素工具鋼(SK材)などの鍛造品に対応しています。
鍛造品の切削加工事例


三暁では、クレーン用フックブロックのフック(吊り上げ部)やトラニオン、30t両吊りフックなど、鍛造品を機械加工で仕上げた異形状部品を数多く製作しています。
「型打ち品はあるが削れる会社がない」というご相談
長年同じ部品を加工してきた協力工場が、後継者不足などで廃業してしまい、「型打ちの鍛造品は手元にあるのに、削ってくれる会社が見つからない」というご相談が増えています。異形状の鍛造品の加工は経験が必要なため、新たな外注先がすぐに見つからないケースも少なくありません。
三暁では、こうした型打ち品からの切削加工も承っています。現物や図面をお送りいただければ、加工可否を確認のうえご回答します。前の加工先で使っていた治具や加工手順の情報が残っていれば、あわせてお知らせいただくことで、立ち上げをよりスムーズに進められます。
ご依頼時にお知らせいただきたい情報
- 製品図面、または現物の写真と主要寸法
- 材質と、鍛造品の手配が必要か(支給品か)
- 型鍛造品の場合は、素材の形状がわかる写真や素材図
- 熱処理・表面処理の指示の有無
- 数量と希望納期
図面が古い、素材図がないといった場合でも、現物を確認しながら進めることができます。
よくある質問
Q. 手持ちの鍛造品を支給して、切削加工だけ依頼できますか?
A. はい。支給品の追加工にも対応しています。
Q. 単品でも依頼できますか?
A. はい。単品1個から承ります。
Q. 鍛造品と削り出し、どちらがよいかわかりません。
A. 用途・強度・数量をお聞きしたうえで、最適な製法をご提案します。
Q. 熱処理や塗装もお願いできますか?
A. はい。熱処理、めっき、塗装まで一貫して対応します。
Q. 継続的な部品の製作もお願いできますか?
A. はい。定期的に発生する補修部品や、年間を通じた継続生産もご相談ください。
お問い合わせ
鍛造品の加工、異形物の削り出しのご相談は、図面・現物・写真のいずれからでも承ります。軸部品はシャフト加工、フランジはフランジ加工のページもご覧ください。



