鋳物加工|大型・単品の鋳物の機械加工
鋳物は、複雑な形状を一体で成形できる便利な素形材ですが、そのままでは部品として使えず、取付面や穴、はめ合い部などを機械加工で仕上げる必要があります。一方で、鋳物特有の巣や硬さのムラ、切りくずの性質から、鋳物の加工を敬遠する加工会社も少なくありません。
三暁では、大型の鋳物や単品・小ロットの鋳物部品の機械加工に対応しています。このページでは、鋳物加工の基本と難しさ、加工の流れ、依頼時のポイント、三暁の対応範囲をご紹介します。
鋳物加工(鋳物の機械加工)とは
鋳物加工とは、溶かした金属を型に流し込んでつくった鋳物(鋳造品)を、切削などの機械加工で図面どおりの寸法に仕上げる加工です。鋳物は形状の自由度が高い反面、鋳肌の寸法精度は高くないため、精度が必要な部分は機械加工で仕上げます。
鋳物が使われる理由
鋳物は、中空や曲面を含む複雑な形状を一度に成形できるため、削り出しや溶接で作るよりも材料と工数を抑えられる場合があります。また、ねずみ鋳鉄は振動を吸収しやすい性質があり、工作機械のベッドやハウジングなどに広く使われています。さらに、鋳鉄は耐摩耗性にも優れるため、摺動部やブレーキ部品などにも用いられます。こうした特性を活かすため、鋳物は今も多くの機械に欠かせない素材となっています。
鋳鉄(FC・FCD)と鋳鋼(SC)の違い
| 種類 | 主なJIS記号 | 特徴 |
|---|---|---|
| ねずみ鋳鉄 | FC | 黒鉛が片状に分布。振動を吸収しやすく、削りやすい。工作機械のベッドやケースなどに使われる。 |
| 球状黒鉛鋳鉄(ダクタイル鋳鉄) | FCD | 黒鉛が球状に分布し、FCより強度・靭性が高い。バルブ、管継手、機械部品などに使われる。 |
| 鋳鋼 | SC・SCWなど | 鋼を鋳造したもの。強度・靭性が高く、溶接可能な材種もある。大型の機械部品などに使われる。 |
記号の後の数字は、おおむね引張強さの最低値を表します(例:FC250は引張強さ250N/mm²以上)。
鋳物の切削が難しい理由
巣(ブローホール)・砂かみ
鋳物の内部には、鋳造時のガスや収縮によって空洞(巣)ができることがあります。また、砂型の砂が鋳肌に入り込む「砂かみ」も発生します。削っていく途中で巣が現れると、工具の欠けや寸法不良の原因になるため、加工中の状態を見ながら進める必要があります。
黒皮・硬度ムラ
鋳物の表面は「黒皮」と呼ばれる硬い層で覆われており、最初の切込みで工具が摩耗しやすくなります。また、冷え方の違いによって部位ごとに硬さが異なる(硬度ムラ)ことがあり、薄肉部や角部が硬くなる「チル化」が起きることもあります。切削条件の調整が欠かせません。
切りくず(粉)による機械への影響
鋳鉄の切りくずは細かい粉状になりやすく、機械の摺動面などに入り込むと摩耗の原因になります。そのため、鋳物の加工を避ける加工会社もあります。鋳物を扱う場合は、切りくず対策や設備の清掃・保守を含めた体制が必要です。
鋳物加工で行う主な機械加工
- 旋削:シーブ(滑車)やフランジ、プーリーなど回転体の外径・内径・端面の仕上げ
- フライス加工:取付面や合わせ面の平面加工、溝加工
- 穴あけ・タップ加工:ボルト穴、ネジ穴、油穴の加工
- 中ぐり加工:軸受部などの精度が必要な穴の仕上げ
鋳物加工の流れ
- 素材の確認:鋳肌の状態、加工代、反りや変形の有無を確認します。
- 基準面の加工:図面上の基準となる面を最初に加工し、以降の加工の基準をつくります。
- 粗加工:黒皮を取り除き、おおまかな形状に削ります。巣の有無もこの段階で確認します。
- 仕上げ加工:取付面、はめ合い部、穴などを図面寸法に仕上げます。
- 検査・塗装:寸法を検査し、必要に応じて塗装して出荷します。
加工後の検査
鋳物部品では、寸法の確認に加えて、加工面に巣や割れが出ていないかを目視で確認します。耐圧性が求められる部品では、浸透探傷検査などの非破壊検査が必要になる場合もあります。
鋳物加工で起こりやすいトラブルと対策
| トラブル | 主な原因 | 対策 |
|---|---|---|
| 加工面に巣が出る | 鋳造時のガス・収縮 | 粗加工の段階で確認し、許容範囲や補修方法を事前に取り決める |
| 黒皮が残る | 加工代の不足、素材の寸法ばらつき | 素材の寸法を確認し、基準の取り方を調整する |
| 工具の早期摩耗・欠け | 黒皮、砂かみ、硬度ムラ | 最初の切込みを黒皮の下まで入れる、工具材種を選定する |
| 加工後の変形 | 鋳造時の残留応力 | 粗加工後に時間をおく、加工順序を工夫する |
鋳物の加工を依頼するときのポイント
- 加工代を確認する:鋳物の寸法ばらつきに対して加工代が少ないと、黒皮が残る原因になります。素材図と製品図をあわせてご提示ください。
- 基準面を明確にする:どの面を基準に寸法を測るかが決まっていると、加工と検査がスムーズになります。
- 巣の扱いを決めておく:加工面に巣が出た場合に、許容範囲や補修の可否をどうするか、事前に取り決めておくと安心です。
鋳物加工の外注先を選ぶポイント
- 鋳物の加工経験があるか:巣や硬度ムラへの対応、黒皮の除去など、鋳物特有のノウハウを持っているか。
- サイズと重量に対応できるか:大型の鋳物は、設備の大きさとクレーン能力が必要です。
- 切りくず対策ができているか:鋳鉄の粉状の切りくずに対応した設備管理ができているか。
- 前後工程を任せられるか:塗装や組立、他工法への切り替え提案まで相談できると、手配の手間が減ります。
三暁の対応範囲(大型・単品・小ロット)
三暁では、大型の鋳物部品や、単品・小ロットの鋳物加工を中心に対応しています。素材の手配から機械加工、塗装までを一貫して承ることができます。
| 項目 | 対応範囲 |
|---|---|
| 対応材質 | 鋳鉄(FC・FCD)、鋳鋼(SC)など |
| 対応サイズ | 設備上の目安:旋削 最大φ1,100×2,000L(3tまで)/マシニング 最大X2,400×Y1,020×Z800mm |
| ロット | 単品〜小ロット |
| 鋳物素材の手配 | 可 |
事例:クレーンフックブロックのシーブ(滑車)
三暁が製作しているクレーン用フックブロックでは、ワイヤロープを掛ける滑車(シーブ)に鋳物を使用しており、鋳物素材からの削り出しで仕上げています。ワイヤロープが通る溝の形状や軸受部の精度が求められる部品です。
鍛造・削り出しへの工法転換もご提案
「鋳物で作っているが、強度に不安がある」「鋳物の巣による不良が多い」「木型や鋳物素材の手配が難しくなった」といった場合は、鍛造品や丸鋼・板材からの削り出しに切り替えることで解決できることがあります。三暁は鍛造品の製作から加工まで一貫対応しているため、工法の見直しからご相談いただけます。詳しくは自由鍛造・型鍛造品の切削をご覧ください。
よくある質問
Q. 鋳物を支給して加工だけ依頼できますか?
A. はい。支給品の加工にも対応します。
Q. 量産品の加工も対応できますか?
A. 三暁は大型品や単品・小ロット品を得意としています。数量や形状をお知らせいただければ、対応可否をご回答します。
Q. 塗装まで依頼できますか?
A. はい。機械加工後の塗装まで一貫して対応します。
Q. 鋳物から鍛造への切り替えも相談できますか?
A. はい。強度・数量・コストを比較したうえでご提案します。
Q. 加工中に巣が見つかった場合はどうなりますか?
A. 状況をご報告し、許容範囲内かどうかをご相談のうえで対応を決めます。
Q. 古い鋳物部品の補修や作り直しもできますか?
A. 摩耗した部分の再加工や、現物をもとにした製作のご相談も承ります。
お問い合わせ
鋳物加工のご相談は、図面・材質・サイズ・数量をお知らせください。大型品の加工については大型・長尺旋盤加工もご覧ください。



